キャベツ生産における移植機、収穫機の利用可能面積

[要約]初冬〜書出しの作型のキャベツ生産における移植機、収穫機の機械利用可能面積は、歩行用全自動移植機14ha、乗用全自動移植機20ha、全自動収穫機15haである。また機械利用の方が慣行の手作業よりも低い費用となる作業規模は、それぞれ1.5ha、4.2ha、4.5ha以上である。


企画怪営部・経営情報課 [連絡先] 092−924−2936
[部会名]園芸 [専門]経営 [対象]葉菜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

県内最大の初冬〜春出しキャベツの産地である北九州市若松地域では、作付面積2ha以上の農家の6割が規模拡大を希望しているが、労働力不足が阻害要因となっており、省力化が求められている。そこで、開発が進んでいる移植機および収穫機について、利用可能面積を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 家族経営による平均的規模のキャベツ栽培農家では、キャベツの移植時期の9月に家族労働の限界時間を超えて過剰就労となっている(図1)。
2 初冬〜春出しの作型で移植機が利用できる8月16日〜9月20日において機械作業能率、天候モデルおよび日長時間をもとに試算した機械利用可能面積は歩行用全自動移植機が13.7ha、乗用全自動移植機が19.8haとなる(表1)。
3 同作型の収穫期間11月から5月までの内、全自動収穫機が利用できるのは11月から3月までで、収穫機の機械利用可能面積は15.0haとなる(表1)。
4 移植作業において、慣行の手植作業時間は180時間/ha、労賃見積額は306,000円/10aである。移植機の利用が手植えよりも低い費用となるのは、歩行用全自動移植機で1.5ha以上、乗用全自動移植機で4.2ba以上である(図2)。
5 収穫作業において、慣行手収穫の作業時間は240時間/ha、労賃見積額は408,000円/haである。全自動収穫機の利用が手収穫よりも低い費用となる規模は4.5ha以上である(図2)。

[成果の活用面・留意点]

1 キャベツの機械化一貫体系の経営評価の基礎データとして利用する。
2 移植および収穫作業の機械利用可能面積は、作業期間内に最大限機械を利用した場合であり、算出の際に他作業との競合および作業人員の確保の難易については考慮していない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:主要産地における省力・機械化技術体系の導入条件の解明
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:浦里果、藤吉臨
発表論文等:平成9年度九州地域試験研究成績・計画概要集(農業経営)