稲作の担い手の類型化による県内の地域区分


[要約]
個別農家の稲作規模別比率と農家集団の組織的活動状況から、稲作の担い手を7つに類型化し、県内97市町村を地域区分できる。

企画経営部・経営情報課
[連絡先 ] 092-924-2936
[部会名] 生産環境
[専門]   経営
[対象]   経営・経済
[分類]   行政


[背景・ねらい]
 1995年センサスによると稲作の生産は、個別経営においては階層分化が、集団組織においては生産組織や農業事業体の展開が急速に進んでいる。しかし、市町村単位では、階層分化や組織的活動状況に差がある。そこで、ここでは稲作の担い手を現状の稲作の主要な生産者(または組織)として、個別と集団の活動状況から稲作の担い手類型化を行い、県内97市町村の地域区分を行う。

[成果の内容・特徴]
 数値は一部を除き1995年センサス概数値を利用した。

@個別農家の類型 個別農家は、稲作規模によって類型化を行い、下記のように4つに区分できる。
            ア)大規模農家地域:5ha以上農家の面積が10%以上(11市町村:以下数値のみ) 
            イ)中規模 〃  :3〜5ha農家の面積が10%以上、又は3ha以上が15%以上(12) 
            ウ)小規模 〃  :ア)、イ)以外で1ha以上の農家の面積が40%以上(30)
            エ)零細規模 〃 :1ha未満の農家の面積が60%以上(44)

A組織的活動状況による類型 組織的活動状況(集団)は、農家、生産、土地利用の各組織化状況から基準化により類型化を行い、下記のように5つに区分できる。分析は、水稲作生産組織参加農家率、農家集団による水稲作事業体の参加農家率、受託組織の収穫面積率、農家集団による水稲事業体の収穫面積率、集団的土地利用実施集落率(1990年)の5指標を用いた。 
            ア)非常に盛んな地域:基準化値2.0以上(5) 
            イ)盛んな地域:同0.63〜2.0(11) 
            ウ)進んでいる地域 :同0.63〜0(16)
            エ)弱い地域 :同0〜-0.63(41) 
            オ)停滞(ほとんど行われていない)地域:同-0.63未満(24) 0.63は、非常に盛んな地域を除いた基準化値の標準偏差である。

B稲作の担い手状況による類型 稲作の担い手は、個別農家類型と組織的活動類型をクロスさせて類型化を行い、下記のように7つに区分できる(表1)。
            ア)個別大規模・農家集団併存地域(8)
            イ)個別大規模担い手地域(3) 
            ウ)個別中規模・農家集団併存地域(6)   
            エ)個別中規模担い手地域(6) 
            オ)農家集団担い手地域(18)  
            カ)個別小規模自己完結地域(17) 
            キ)個別零細規模自己完結地域(39)
[成果の活用面・留意点]
 行政・普及機関において、地域農業計画や担い手育成等の振興計画を作成する場合の基礎資料となる。


[具体的データ]








[その他]
研究課題名:地域条件に応じた担い手の類型化と展開方向
予算 区分:経常
研究 期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:中原秀人、今林惣一郎、大森 薫
発表論文等:平成5〜7年 九州地域試験研究成績・計画概要集−農業経営−