青ネギの段ボール容器を用いた新しい出荷方法とその市場評価
 
[要約]
 青ネギは、微細フィルムでで包装し、段ボール容器で出荷することにより発泡スチロ
ール容器と同等に鮮度を保つことができる。環境負荷が大きい発泡スチロール容器から
段ボール容器への変換については、環境問題に対する出荷コストの低減等が課題である
 
生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室 連絡先092−924−2930
部会名:生産環境 専門:加工利用 対象:葉菜類 分類:行政
 
[背景・ねらい]
 青ネギは、発泡スチロール容器を用いて出荷されているが、発泡スチロール容器は、
環境に与える負荷が大きいために、これに替わる出荷資材が求められている。そこで、
再生が容易な段ボール容器を用いた新しい出荷方法について、東京市場への輸送試験を
行い、鮮度保持効果を実証するとともに、市場でのアンケート調査による評価を行い、
環境負荷を軽減した新しい出荷方法の普及推進を図る。
[成果の内容・特徴]
 1 青ネギの親しい出荷方法は、青ネギをポリプロピレン微細孔フィルムで包装し、
ヨコ目シールして段ボール容器に詰めて出荷する方法である。
 2 青ネギの鮮度は、新しい出荷方法を用いることにより、市場到着3日目まで葉の
萎凋や異臭の発生もなく、発泡スチロール容器を用いたものと同等に保つことができる
(表1)。
 3 新しい出荷方法の費用は、1箱(30束)当たり約360円で発泡スチロール容
器に比べ約120円高くなるが、発泡スチロール容器は、処理費用が1箱当たり約30
円かかるため、約90円高くなる。
 4 青ネギは、現在1日当たり約200ケースが段ボール容器で出荷されているため
新しい出荷方法は、市場関係者の約70%の人が認知しているが、段ボール容器への変
換については、直ちに替えた方がよいと答えた人が11%、環境間題等、情勢を判断し
て決めると答えた人が54%、そのままでよいと答えた人が30%である(図1)。
 5 新しい出荷方法の普及は、今後増加すると答えた人は27%、価格設定によると
答えた人が34%、わからないと答えた人が26%である(図2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 環境に優しい生産・流通体制を整えるための出荷技術として活用する。
 2 新しい出荷方法の普及推進には、環境に優しい出荷を行う産地としてのPRや、
コスト低減のための関係機関の支援策が必要である。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:総合組立現場実証
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:茨木俊行、池田浩暢
発表論文等:平成7〜9年度生産環境研究所流通加工部試験成績書