イチジク果実の食物繊維含量の品種及び節位間の差異

〔要約]イチジクは夏果、秋果とも食物繊維である水溶性ペクチン質とセルロースが多く含まれ、品種では「蓬莱柿」の食物繊維含量が多い。また、秋果は夏果に比べて水溶性ペクチン質とセルロース含量が多く、着果節位では中〜上位節の秋果が下位節に比べて不溶性ペクチン質とセルロース含量が多くなる。


豊前分場・果樹研究室 [連絡先]09302−3−0163
[部会名]生産環境 [専門]加工利用 [対象]果樹類 [分類]指導


[背景・ねらい]

イチジクの果実にはタンパク質分解酵素が含まれ、食物繊維成分にも富むなどその機能性は高く評価されている。食物繊維はその種類によって機能特性の異なることが報告されており、平成8年度農業関係試験研究の成果では、イチジクが他の果実類に比べて食物繊維として水溶性ペクチン質とセルロースを多く含むことを明らかにした。そこで、イチジクの機能特性をさらに解明するため、食物繊維を主な成分ごとに区分して品種間の含量を比較し、着果節位による違いも明らかにする回

[成果の内容・特徴]

1 イチジク果実に含まれる食物繊維は、夏果、秋果とも水溶性ペクチン質とセルロースの含量が多く、品種間差も大きい。品種の中では、「蓬莱柿」の食物繊維含量が多い(図1、図2)。
2 イチジク果実の食物繊維含量は夏果に比べて秋果の方が多く、特に水溶性ペクチン質とセルロース含量が多い(図1、図2・図3)。
3 「桝井ドーフィン」と「蓬莱柿」の秋果は下位節より中〜上位節の食物繊維含量が多く、不溶性ペクチン質とセルロース含量が著しく増加する(図3)。

[成果の活用面・留意点]

1 平成8年度の成果情報と併せて、イチジク果実の機能性をPRする販売戦略に活用する。
2 着果節位による食物繊維含量の違いには秋季の気温変化が影響していると考えられ、気象要因との関連性についてはさらに検討を行う。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:イチジクの品種及び栽培条件と機能性成分
予算区分:県特
研究期間:平成9年度(平成8〜12年)
研究担当者:矢羽田第二郎、野方仁
発表論文等:イチジク果実の細胞壁成分の品種間差異と成熟過程における変化、園芸学会雑誌、第65巻第1号、1996
イチジク果実の細胞壁多糖類含量の数種果実類との比較及び品種間差異園芸学会九州支部研究集録、第5号、1997