施設栽培シュンギク連作ほ場における塩類集積の実態

[要約]施設栽培シュンギクほ場では塩類集積が進行しており、。その程度や塩類の種類に差がみられる。連作年数の長い地域では、土壌中の水溶性イオンのうち硫酸イオンの占める割合が大きく、ECが高い。また、土性が粗く保肥力の小さい地域では塩基飽和度が極めて高い。


生産環境研究所・化学部・土壌管理研究室 [連絡先]092−924−2939
[部会名]生産環境 [専門]土壌 [対象]葉茎菜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

施設栽培土壌では、降雨による肥料成分の流亡が少ないことから塩類集積が起こりやすい。特に、年間作付け回数が多く施肥量の多いシュンギクでは、塩類が集積しやすいと考えられる。そこで、県下の主要なシュンギク産地の塩類集積の実態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 土壌ECの平均値は、連作年数の長い福岡市元岡で最も高く、全体の53%の地点が、1.0mSを超えている。北九州市小倉南区は次いで高く、全体の23%の地点が1.0mSを越えている。那珂川町は最も低く、1.0mSを越える地点はみられない(表1)。
2 塩基飽和度の平均値は各地域とも100%を越えているが、土性が粗く保肥力の小さい福岡市元岡では、200%以上と極めて高い水準にある(妻1)。
3 可給態りん酸は各地域とも著しく集積している(表1)。
4 水溶性陰イオンのうち、硝酸イオンは各地域とも概ね同程度であるが、硫酸イオンは、連作年数の長い福岡市元岡地区で特に集積している(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 野菜施肥基準に登載し、塩類集積防止対策の基礎資料として活用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:低ストレス型施肥による施設土壌の塩類集積防止
予算区分:国庫
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:小田原孝治、藤田彰、黒柳直彦、酒井憲一
発表論文等:平成7〜9年度土壌環境対策事業成績書