青ネギの収穫時期別品質保持力

[要約]春、夏、秋、冬の各季節に収穫した青ネギを15℃で貯蔵した場合、夏期に収穫したものは、収穫後の葉の萎凋程度が小さくアスコルビン酸含量の低下も少ないことから品質保持力に優れる。青ネギの呼吸速度は、品温が同じであれば夏期に収穫したものが低く、冬期に収穫したものが高い。

生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室 [連 絡 先]092-924-2930
[部会名]生産環境 [専門]加工利用 [対象]葉茎菜類 [分類]指 導

[背景・ねらい]

青ネギは季節に応じて「博多九条」や「雷山」等の品種が栽培されている。それぞれの 収穫時期により品種や栽培環境条件が異なることから、これらに応じた品質保持技術の確 立が望まれている。しかし、現在の出荷は季節を問わずポリプロピレンフィルムで包装を 行い、発泡スチロール容器に入れて行われ、さらに小売店では低温ショーケース内(10 〜15℃)で販売される。そこで、季節ごとに収穫した青ネギの品質保持に及ぼす呼吸速 度や内容成分の変化について検討し、収穫時期ごとの品質保持方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

@青ネギの品温と呼吸速度の関係は、春夏秋冬いずれの時期に収穫したものについても二次式で近似できる。同じ品温であれば、呼吸速度は冬期に収穫したものが高く、夏期に収穫したものが低い(図1)。
A夏期に収穫した青ネギは、収穫後の葉の萎凋程度が小さく、アスコルビン酸含量も収穫後4日間保つことができ品質保持が良い。春期のものは、葉の萎凋程度は小さいものの、アスコルビン酸含量の減少が早くから認められる。冬期のものは、葉の萎凋程度が大きく、アスコルビン酸含量も早くから減少することから、品質の低下が早い(図2、3)。
B青ネギの全糖含量及びクロロフィル含量も、アスコルビン酸含量とほぼ同様の傾向を示す(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

@時期ごとの青ネギの品質保持対策に活用できる。
A冬期に収穫する青ネギは、相対的に呼吸速度が高いので、呼吸速度を抑制できるようなフィルムを選定する。

[その他]

研究課題名:流通適性を高める収穫時機
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:茨木俊行、池田浩暢
発表論文等:平成7〜8年度生産環境研究所流通加工部試験成績書
第44回日本食品低温保蔵学会秋期大会発表要旨集
日本食品低温科学会誌1997.23(2)