捕食性天敵ヒメハナカメムシ類の種構成


[要約]
  ナミヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ及びツヤヒメハナカメムシの3種がナスの難防除害虫ミナミキイロアザミウマの有力な天敵として働いている。このうち、ナス圃場ではナミヒメハナカメムシが最優占種であり、稀にツヤヒメハナカメムシが優占種となる。

生産環境研究所・病害虫部・野菜花き病害虫研究室
[連絡先]  092-924-2938
[部会名]  生産環境
[専門]    作物虫害
[対象]    果菜類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  ナスの難防除害虫であるミナミキイロアザミウマの有力な捕食性天敵ヒメハナカメムシ類を有効に利用するためには、ヒメハナカメムシ類に対する農薬の影響を可能な限り軽減する必要がある。そこで、ヒメハナカメムシ類の保護や撹乱要因の軽減を目的とした環境保全型の害虫管搴Z術を確立するため、ヒメハナカメムシ類のナス圃場及び周辺環境での種構成を解明する。

[成果の内容・特徴]
@ナス圃場ではヒメハナカメムシ類3種の発生が確認され、このうちナミヒメハナカメムシが最優占種である(表1)。また、一部の圃場ではツヤヒメハナカメムシがこれに替わる(図省略)。

Aクローバーではナミヒメハナカメムシがヒラズハナアザミウマを餌として増殖し、最優占種となっている(データ省略)。また、水稲ではツヤヒメハナカメムシが水稲に発生するアザミウマ類を餌として増殖し、最優占種となっている(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
@夏秋ナス圃場周辺でのヒメハナカメムシ類の生息場所保全のため、水田での農薬散布に際しては、ヒメハナカメムシ類に影響の少ない選択的殺虫剤を使用する。

A周辺生息場所から飛来するヒメハナカメムシ類の有効な活動を保障するために、夏秋ナス圃場では定植時から選択的農薬による総合的な害虫管理体系を考える。

Bヒメハナカメムシ類は短日条件下で生殖休眠に入るため、冬春ナスでの自然発生は期待できない。


[具体的データ]




[その他]
研究課題名:野菜類の生態系活用による生産技術の確立  ナスのミナミキイロアザミウマに対する天敵昆虫の利用技術
予算 区分:県特
研究 期間:平成7年度(平成3〜7年)
研究担当者:大野和朗・嶽本弘之
発表論文等:平成6〜7年度生産環境研究所病害虫部野菜花き病害虫関係試験成績概要書
        Applied Entomology and Zoology(応用動物昆虫学会英文誌)投稿中