木材腐朽菌添加によるオガクズ混合乳牛ふん堆肥の分解促進
[要約]オガクズ混合乳牛ふんを堆肥化する場合、木材腐朽菌を添加すると、添加しな
い場合に比べ、乾物及びリグニンの減少割合は、それぞれ、147%、185%と大き
く減少する。しかし、木材腐朽菌を発酵初期に添加すると、高温のために木材腐朽菌の
効果が低下する。添加する適期は、発酵温度が40℃以下に低下した後が適当である。
畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室
連絡先:092−922−4100
部会:畜産 専門:環境保全 対象:家畜類 分類:指導
[背景・ねらい]
乳牛ぶんは水分含量が80〜85%と高いため、堆肥化する時、水分調整材として吸
水性に優れ通気性を良くするオガクズが使用されることが多い。しかし、オガクズには
分解しにくいリグニンが多いことから、木材腐朽菌を添加して堆肥の分解促進を図る。
[成果の内容・特徴]
1 乾物量の減少割合は、木材腐朽菌を発酵開始70日目(発酵温度16.7℃)に
添加すると、添加しない場合に比べ、0〜140日で、147%となる(表1)。
2 リグニン量の減少割合は、木材腐朽菌を発酵開始70日目に添加すると、添加し
ない場合に比べ、0〜140日で、185%となる(表2)。
3 木材腐朽菌を70日目から添加した場合、0日から添加した場合に比べ、0〜
140日の乾物及びリグニンの減少割合は、それぞれ123%、147%となる(表
1、表2)。つまり、木材腐朽菌を試験開始時から使用すると、2週間〜3週間程
度は発酵初期の堆肥の高温に遭遇するために、腐朽菌の添加効果は低下する(表1
表1:注のD、表2)。
4 木材腐朽菌は中温域で活発な菌(最適温度37℃)である。今回の試験では堆肥
の発酵温度は28日目(10月22日)で37℃以下となっており、この時季にお
いては発酵開始4週目頃の添加が適当である(表1:注のD)。
[成果の活用面・留意点]
1 木材腐朽菌の添加によりオガクズ混合ふんの乾物およびリグニンの分解は大幅に
促進される事からオガクズ混合ふんの分解促進に活用できる。
2 木材腐朽菌は中温域で活発な菌であるので、堆肥の品温が40℃以下になってか
ら使用する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:微生物資材利用による家畜糞の高速堆肥化技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成6〜9年)
研究担当者:高椋久次郎、小山太
発表論文等:平成9年度畜産関係試験成績書