近赤外分光法による鶏ふん堆肥成分の迅速測定技術
畜産研究所･飼料部･家畜栄養研究室 [連絡先]092-925-5229
中小家畜部･環境衛生研究室
[部会名]畜 産 [専門]環境保全 [対象]家畜類 [分類]普及
［背景・ねらい］
堆肥の利用促進を図るため、堆肥成分を迅速に測定する分析技術の開発が望まれている。赤外分光法は、サンプルを乾燥粉砕するだけで成分含量を迅速に測定できる分析法である。この方法を応用して、平成 9年度成果では、乳牛ふん堆肥の堆肥成分を迅速に測定する技術を確立した。さらに今年度、肉牛ふん堆肥の堆肥成分についても同様に測定技術を確立したので、引き続き鶏ふん堆肥について測定技術を確立する。 （要望機関名：八女普、福岡普、北九州普（Ｈ９））
［成果の内容と特徴]
１ 近赤外分光法による堆肥成分測定に必要な検量線作成に用いたサンプルは、県内の鶏ふん堆肥67点で、県内の鶏ふん堆肥を代表するサンプル集団である(表1)。
２ 全窒素、全炭素、加里および苦土の変動係数は小さく、水分、石灰の変動係数は大きい(表1)。
３ 水分、全窒素、全炭素、石灰および苦土は、検量線の相関係数が0.887以上と高く、検定の相関係数も0.767以上と高いので、実用性が認められる(表2)。
４ リン酸と加里は、検量線の相関係数が0.972以上と高いが、検定の相関係数がそれぞれ0.750、0.651と低いので、推定精度がやや低い(表2)。
［成果の活用面・留意点］
１ 県内で生産される鶏ふん堆肥の堆肥成分を近赤外分析計で測定することで、その分析値を参考とした施肥設計を行うことができる。
２ 鶏ふん堆肥を対象としているため、その他の堆肥には適合しない。
３ 近赤外分析法による測定値は公定法と同様の数値として取り扱えない。
［具体的データ］
［その他］
研究課題名：近赤外分析計による堆肥成分迅速評価法の確立
予算区分：経常
研究期間：平成10年度（平成8〜10年）
研究担当者：梅田剛利、小山太、大石登志雄、高椋久次郎
発表論文等：平成10年畜産関係試験成績書