県内で生産される鶏ふん堆肥と豚ふん堆肥の肥料成分及び水分含量

[要約]
 副資材を含まない鶏ふん堆肥及び豚ふん堆肥の肥料成分は、技術指標の乾燥ふんの値に比べてりん酸、加里、石灰、苦土含量が高い。また、チップまたオガクズを含む堆肥に比べ、りん酸、石灰含量が高く、水分含量及び肥料成分のばらつきが大きい。

畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室  [連絡先]092−925−5177
飼料部・家畜栄養研究室  [連絡先]092−925−5229
[部会名]畜産 [専門]環境保全 [対象]家畜 [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 堆肥の広域流通を促進するためにも、肥料成分を明確に把握しておく必要がある。肥料成分については、昭和61年度作成の「家畜ふん尿処理利用指導技術指標」(以下、技術指標)の数値が一般的に利用されているが、作成後10年以上が経過しており、飼養形態や発酵施設の変化もあり堆肥成分が変化していることが考えられる。これまで、県内で生産される牛ふん堆肥の肥料成分及び水分含量について報告した(平成8,9年度成呆情報)のに続いて、鶏ふん及び豚ふん堆肥の肥料成分、水分含量等の実態を副資材別に明らかにする。(要望機関名:畜産課、八女普(H8))
 
[成果の内容・特徴]
1 副資材を含まない鶏ふん堆肥の平均水分含量と窒素含量はそれぞれ22%、4%で、技術指標の乾燥鶏ふんと同等の数値であるが、無機成分であるりん酸、加里、石灰、苦土含量はやや高い。これは平成10年の全国調査結果と同様の傾向を示す。また、この堆肥に比べ、チヅブを副資材とした霜ふん堆肥は窒素含量については同程度の値を示すものの、りん酸、石灰含量が低く、水分含量及び炭素含量が高い(表1)。
2 副資材を含まない豚ふん堆肥の肥料成分は、窒素4%、りん酸7%、加里3%で技術指標の乾燥豚ふんの数値に比べ高い。これについても全国調査結果と同様の傾向である。この堆肥は、オガクズを含む堆肥に比べ、窒素、りん酸、石灰が高くなる一方、水分含量10ポイント以上低い(表1)。
3 副資材を含まない鶏ふん堆肥、豚ふん堆肥ともに、水分含量及び肥料成分のばらつきが大きく、特にりん酸含量においては5〜10%と大きい(図1)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 鶏ふん及び豚ふん堆肥の成分値として技術資料に掲載し活用することができる。
2 鶏ふん堆肥、豚ふん堆肥の施用においては、肥料成分の変動幅が大きいので成分を把握して利用する。また、各作目の施用基準に準じ、化学肥料の施用量を抑制する必要がある。
3 近赤外分析計による堆肥成分の測定技術確立のための検量線作成用の元データとして利用する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:近赤外分析計による堆肥成分迅速評価法の確立
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成8〜l0年)
研究担当者:小山太、高椋久次郎、梅田剛利
発表論文等:平成8,9,10年度畜産関係試験成鎮書