簡易な保温板利用によるミツバチの早春建勢促進技術

[要約]冬期の低温期にミツバチ巣箱内に保温資材として室内壁保温材と段ポールを用いて作成した「保温板」等を挿入して防寒することにより、早春の群勢が無防寒と比べて約25%向上し、産卵育児を促進させることができる。


畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 [連絡先]092−925−5231
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]普及


[背景・ねらい]

屋外に設置されたミツバチ巣箱は、冬期の低温条件や巣箱内の高温環境に対する対策がなされていないものが多く、ミツバチが越冬中に漸次減少して弱群化し、早春の建勢が進まないものが少なくない。蜂蜜等の生産性の向上を図るためには、本県のような西南暖地でも防寒対策を図る必要がある。
そこで、ミツバチに対する防寒が早春の建勢促進に及ぼす影響を明らかにするとともに、簡易な防寒技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

1 ミツバチの冬期の生活圏となる巣箱内における蜂球温度の日較差を緩和するため、保温資材として市販の室内壁保温材(発泡ウレタン、縦25×横46×厚2p)と段ボール(縦25×横46×厚0.5p)を用いて、この両者を接着剤で張り合わせた「保温板」を巣箱内の両端に設置して防寒する(図1)。
2 防寒した蜂群は無防寒のものと比べて、蜂球温度が33℃前後に一定して、生活圏が安定化する(表1)。
3 早春の蜂群建勢期における防寒蜂群は、群勢が無防寒のものと比べて約25%向上し、産卵育児圏が拡大する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 ミツバチの冬期飼育管理技術として活用する。
2 保温板は段ボールを蜂球側にして巣坂の両端におく。
3 保温板はおよそ11〜3月の期間中に利用する。

[具体的データ]

[その他〕
研究課題名:建勢維持に適したミツバチ巣箱の開発
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成9〜10年)
研究担当者:大石登志雄、松熊盛夫
発表論文等:平成9年度畜産関係試験成績書