イチゴハウス屋外に設置する花粉媒介用ミツバチ巣箱の改良と新巣門の製作

[要約]
 屋外に設置する促成イチゴの花粉媒介用ミツバチの「2巣門型改良巣箱」と「防風型巣門」を製作した。この改良巣箱または薪巣門の利用により寒風等の巣箱内流入による蜂量の損耗が緩和され、早春の建勢が向上する。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 [連絡先]092−925−5231
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 本県のイチゴは生産額が約200億円にのぼる全国1位の基幹作物であるが、これの花粉媒介に利用されるミツバチは、ハウスから引き上げる時には蜂量が減少して、使い捨てられるものが多い。花粉媒介用ミツバチの実態調査の結果、蜂量が損耗する要因として、@巣箱内の寒冷と高湿度の影響、A1〜3月頃の寒風の巣箱内への流入が原因であることを明らかにした。このため、これまで@の対策として、蜂群の防寒や放飼方法(平成9年度の成果情報)を確立したが、Aについては未解決のままである。そこで、寒風等の巣箱内への流入を緩和し、冬期花粉媒介用ミツバチの損耗の緩和を図るため、改良巣箱および新しい巣門を製作し、蜂量の損耗防止および建勢維持促進効果について明らかにする。(要望機関名:八女普(H8))
 
[成果の内容・特徴]
1 イチゴ花粉媒介用のミツバチ巣箱として、寒風の巣箱内への流入を緩和するため、巣門に1本の釘で固定した「巣門開閉扉(トタン製等、縦3×横6p)」を付けた「2巣円型改良巣箱(巣門は屋外と屋内の2ケ所に設置)」を製作した(図1、巣箱の設置方法は表1参照)。
2 同様のねらいのため、蜂の出入口の断面が「コ」の字型構造をもつ「防風型巣門」(厚1.2×幅3cmの杉板製)を製作した(図2、巣箱の設置方法は表1参照)。
3 2巣門型改良巣箱または防風型巣門の利用により、ハウス引上げ時の蜂量は、慣行巣箱のものと比べて減少程度は低く、産卵育児圏は、慣行巣箱と比べてそれぞれ約4〜5倍拡大する(表1)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 イチゴ花粉媒介用ミツバチの放飼技術として利用する。
2 2巣門型改良巣箱の巣門は強風時や農薬散布脚に閉める。
3 巣箱内に保温板を設置すると防塞効果が高まる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:群勢維持に適したミツバチ巣箱の開発
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
研究担当者:大石登志雄
発表論文等:平成9,10年度畜産関係試験成績書