[要約]
県内の主要な採卵鶏 5銘柄を飼養して、産卵能力、規格別生産割合を検討した。その結果、産卵率、産卵日量、飼料消費量、破卵率に有意な差が認められたまた鶏卵の規格別生産割合では、小卵生産、大卵生産およびその中間のタイプと銘柄によってそれぞれ特徴がある。
畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室
[連絡先] 092-922-4100
[部会名] 畜産
[専門] 飼育管理
[対象] 家きん類
[分類] 指導
[背景・ねらい]
鶏卵のM規格とL規格はいわゆるテーブルエッグとしての需要が高く、他の規格に比べて高卵価で取引されるため、近年の卵価の低迷の中では、卵価の高い規格をより多く生産することが採卵鶏農家にとって重要である。そこで、現在福岡県で飼養されている市販銘柄のうち主要な白色レグホン種の
5銘柄(エクセルリンクエル:A、ジュリア:B、ハイラインW−77:C、スーパーニック:D、シェーバーN
21:E)を使って、成鶏期( 141〜 448日齢の 308日間)における産卵性能および規格別生産率の特徴を明らかにし、採卵鶏農家における銘柄選定の資料とする。
[成果の内容・特徴]
@産卵率、産卵日量、ヘンハウス産卵個数、飼料消費量の項目においては、銘柄によって有意(
p<0.05)な違いが認められる。飼料要求率、生存率においては銘柄間による差は認められない(表1)。
A高卵価規格のM・L生産割合は、72.9〜79.4%の範囲にある。銘柄による通算規格別生産割合においては、銘柄BとEはLL以上の割合が高い大卵タイプ、銘柄AはMS以下の割合の高い小卵タイプ、銘柄CとDがMS以下の割合とLL以上の割合がほぼ同じになる
3つのタイプに分けられる(表2)。
B銘柄Eは産卵ピーク時の33週齢に、他の銘柄と比較して破卵率が有意(p<0.05)に高く、その後の破卵率も高く推移する(表3)。
C体重が有意(p<0.05)に小さい銘柄Aは平均卵重が小さく、また規格別生産割合でもMS以下の割合が高くなる(表2,表4)。
[成果の活用面・留意点]
@採卵鶏農家における銘柄選定の参考として活用する。
A448日齢までの飼養であるため、448日齢以上の長期飼養や強制休産処理を実施する場合は別に検討する必要がある。
[具体的データ]
表1 銘柄別の産卵性能
注)@小文字異符号間に有意差あり(P<0.05)
A飼育羽数:1区50羽の2反復で実施
B給与飼料:CP17%、ME2.80Mca1/kg
表2 規格別産卵個数の推移
表3 銘柄別破卵率の推移(%) 表4銘柄別体重の推移(s)
注)小文字異符号間に有意差あり(P<0.05)
[その他]
研究課題名:採卵鶏の鶏卵品質と卵殻強化技術
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成6年)
研究担当者:福原絵里子、村上徹哉、津留崎正信
発表論文等:平成6年度畜産関係試験成績書