竹酢液吸着竹炭の給与が採卵鶏に及ぼす効果
 
[要約]
 竹酢液吸着竹炭を1〜2%混合した飼料を採卵鶏に給与すると、産卵成績は市販配合飼料と比べて変わらないが、産卵前期の卵黄重は重くなり、卵黄卵白比は向上する。また、鶏舎内のアンモニアガス濃度や鶏ふん性状及び臭気に明らかな影響はない。
 
 畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室    [連 絡 先]092−925−5177
 畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室
 
[部会名]畜 産   [専 門]飼育管理  [対 象]家禽類  [分 類]指 導
 
[背景・ねらい]
 高付加価値鶏卵の生産販売は、採卵養鶏の経営形態の一つのあり方として定着し取り組まれている。鶏卵を地域特産品としてブランド化する場合の方法として、地域で入手可能な資材を活用することが考えられる。福岡県は全国でも有数のタケノコの産地であり、副産物としての竹炭及び竹酢液の有効利用が求められている。木酢液については採卵鶏等に給与する試験が行なわれているが竹酢液、竹炭については事例がない。そこで、竹酢液を30%吸着させた粉末状竹炭(以下竹炭)を採卵鶏に給与し、産卵性能、卵質及び鶏ふんの臭気等に対する影響について調査する。 (要望機関名:八幡農林事務所(H 8))
 
[成果の内容・特徴]
 1 市販配合飼料に竹炭1〜2%を混合した飼料を給与した場合の産卵率、平均卵重、日   産卵量、飼料消費量、飼料要求率、破卵率は、市販配合飼料の産卵性能とほぼ同じである  (表1)。
 
 2 竹炭混合飼料の産卵期別卵質は、産卵前期では竹炭混合量が多くなると卵黄重が重く、  卵黄卵白比も高くなり、産卵中期以降も同様な傾向にある。また、ハウユニット及び卵黄  中ミネラルについては市販配合飼料とほぼ同じである(表2)。
 
 3 採卵鶏に竹炭を 1〜 2%混合した飼料の給与により、畜舎内のアンモニアガス濃度を低  下させる効果は認められない(表3)。
 
 4 竹炭混合飼料を給与しても、鶏ふんの成分は変わらない。また、鶏ふんから発生する硫  黄系化合物濃度及び臭気指数に差は認められない(表4)。
 
 
[成果の活用面・留意点]
 1 採卵鶏に、竹酢液吸着竹炭を給与する生産者に対する指導資料として活用する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:ビタミンEと木酢酸等を利用した鶏卵生産技術
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:前田統幸、福原絵里子、西尾祐介、津留崎正信、高椋久次郎
 発表論文等:平成8〜10年度畜産関係試験成績書