豚萎縮性鼻炎予防における、Bb不活化ワクチンとPmトキソイドワクチンの併用接種効果

[要約]豚萎縮性鼻炎の予防法として、Bb不活化ワクチンにPmトキソイドワクチンを併用接種する場合、母免疫法では肥育中期まで、母子免疫法では、肥育後期まで感染防御に必要な抗体価を維持できる。さらに、いずれの場合も鼻甲介骨病変と肺病変が軽減し、予防効果が高まる。

畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室

 連絡先

 092−925−5177

部会名
 

畜   産
 

専門
 

衛   生
 

対象
 


 

分類
 

普  及
 
[背景・ねらい]
  従来、豚の萎縮性鼻炎(AR)の予防には、分娩前の母豚にBordetella bronchiseptica(Bb)不活  化ワクチンを接種してきたが、必ずしも十分な効果は得られていない。また最近では、鼻甲介骨の  破壊を促進する皮膚壊死毒素(DNT)を産生する Pasteurella multocida(Pm)が混合感染すると、 より強い鼻甲介骨病変を生じることが明らかとなった。そこで、Bb不活化ワクチンにPmトキソイ ドワクチンを併用接種する場合の効果的な接種方法を明らかにする。
                                    (要望機関名:筑後家保(H9))
[成果の内容・特徴]
1.母免疫法では、移行抗体のみで肥育中期まで感染防御に十分な抗体価を維持するが、次第に低下するので肥育後期までは維持できない(図1)。
 
2.母子免疫法では、移行抗体と子豚の抗体獲得により、出生時から肥育後期の21週令まで感染防御に十分な抗体価を維持できる(図1)。
 
3.母免疫法、母子免疫法のいずれも鼻甲介骨病変、肺病変が軽減し、ARの予防効果が高まる(図2)。
 
[成果の活用面・留意点]
1.ワクチン接種においては、各農場ごとの豚萎縮性鼻炎の感染状況に応じて母免疫法か母子免疫法を選択するが、感染が進行した農場では母子免疫法が望ましい。
 
[その他]
 研究課題名:豚パスツレラトキソイドワクチンを利用したAR防止技術
 予   算    区   分 :経 常
 研  究   期   間 :平成11年度(平成9〜11年)  
 研究担当者:北崎宏平、今村和彦、山本英二
 発表論文等:平成11年度畜産関係試験成績書