ミルキングパーラーの入室・退出方式の違いによる作業特性

[要約]ミルキングパーラーにおける乳牛の個別入室・退出方式は、一列毎の一斉入室・退室方式に比べて搾乳サイクルが短かく、搾乳能率が優れ、1時間当たりの搾乳頭数が増加する。一方、一斉方式は、個別方式に比べて作業能率は劣るが、作業動線が規則的で作業頻度が少なく、作業者の心拍磁は個別方式ほど増加しない。


畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室[連絡先]092−925−5231

[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

近年、フリーストール・ミルキングパーラー方式の酪農経営が増加しており、各種のミルキングパーラーが導入されているが、乳牛の入室・退出方式の違いによる搾乳能率や労働負担への影響は明らかではない。
そこで、当場の自動開閉サイドオープン型ミルキングパーラーを用いて、乳牛の入室・退出方式及びパーラー規模が、搾乳能率及び労働負担に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 牛の個別入室・退出方式(個別方式)は、一列毎に一斉入室・退出する方式(一斉方式)に比べて、搾乳終了後退出までの時間が4頭規模で72.3%(1分47秒)、6頭規模で80.5%(3分2秒)短縮されること等から、総搾乳作業時間が短く、搾乳能率に優れる(妻1)。
2 搾乳サイクルから試算した1時間当たりの搾乳可能頭数は、個別方式てば6頭規模で30.1頭と最も多く、4頭規模ではその73.1%である。一斉方式では、6頭規模で22・5頭、4頭規模ではその80.9%である(表1)。
3 一斉方式は、個別方式に比べて搾乳能率は劣るが、作業動線は規則的で、作業頻度が少なく、搾乳作業者の心拍数は個別方式ほど増加しない(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 ミルキングパーラー導入時の形式選択及び搾乳作業計画策定の参考として活用する。
2 調査施設のミルカーは自動マッサージ機能を有するため、通常施設より実搾乳時間が約40秒間長くなっている。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:フリーストール牛舎の省力的作業システム
予算区分:国庫(堆域基幹)
研究期間:平成9年産(平成6〜10年)
研究担当者:磯崎良寛、原田美奈子、柿原孝彦、古賀康弘
発表論文等:平成9年度畜産関係試験成績書