ビール粕を利用した混合飼料給与による乳用種去勢牛の肥育効果

[要約]
 乾燥ビール粕割合を前期20%、中期10%とし、可消化養分総量、総繊維維(NDF)含量を前期71%、39%、中期78%、27%、後期82%、19%とする混合飼料給与により、乳用種去勢牛の19ヵ月齢出荷時における肥育成績が向上する。

畜産研究所・大家畜部・肉用牛研究室飼料部・家畜栄公研究室[連絡先]092-925-5231
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 乳用種去勢牛の肥育において、良質肉を低コストで生産するには、地域飼料資源である食品製造副産物の積極的な活用が必要である。ビール粕はNDF含量の高い食品製造副産物であり、その特徴を活かした肥育技術を確立するために、乾燥ビール粕の給与割合および給与時期が乳用種去勢牛の増体および肉質に及ぼす影響を明らかにし、ビール粕を組み込んだ良質肉低コスト生産技術を確立する。(要望機関名:朝倉普及(H6)、両筑家保(H8))
 
[成果の内容・特徴]
1 給与混合飼料中の乾燥ビール粕を肥育前期に20%、中期に10%給与すると、19ヵ月齢で体重が700kgに達し、無給与の場合と比較して増体量および飼料の利用効率にはほとんど差がない(表1)。
2 乾燥ビール粕を肥育前期に20%、中期に10%給与すると、他と比較して枝肉重量にはほとんど差がないが、ロース芯面積が広くバラが厚く、脂肪交雑に優れるために肉質格付等級3等級の出現割合が高くなる。その結果、枝肉販売額が高くなるとともに乾燥ビール粕利用により飼料費が低減され、収益性は向上する(表2)。
3 乳用種去勢牛の肥育における乾燥ビール粕を組み込ん栄養管理指標としては、肥育期を前期、中期、後期の3期に分け、TDNおよびNDF水準を前期71%および39%、中期78%および27%、後期82%および19%程度とし、乾燥ビール粕給与量は前期20%、中期10%とする(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 ビール粕を組み込んだ給与体系における肥育栄養管理指標として利用することができる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:乳用種肥育牛による良質肉安定生産のための混合飼料給与技術
乳用種肥育牛の技術指標の策定
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
研究担当者:平嶋善典、古賀鉄也、徳満 茂、棟加登きみ子、藤吉弘子
発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書