カンキツエクソコーティスウイロイド汚染器具の簡易消毒法

[要約]カンキツエクソコーティスウイロイドに汚染された器具の消毒は、普通物で取り扱いが容易な次亜塩素酸ナトリウムの0.5%水溶液に10秒間浸漬することで可能である。


果樹苗木分場・ウイルス無毒化研究室 [連絡先]09437−2−2243
[部会名]園芸 [専門]作物病 [対象]果樹類 [分類]普及


[背景・ねらい]

カンキツエクソコーティスウイロイド(CEVd)は、台木として広く利用されているカラタチで激しい病徴を発現し、発病樹は枯死することもある。この病害は、接ぎ木の他、器具によっても伝染するため、器具を使用する管理作業においては、器具消毒を実施する必要がある。汚染器具の消毒液としては、水酸化ナトリウムとホルマリンの2%混合液がある。しかし、薬液の調整が必要であるほか、この2剤はともに医薬用外劇物であり使用および管理には注意が必要であるため、この剤による器具消毒は十分実施されていない。そこで、取り扱いが答易な消毒液を選定し、器具伝染防止の推進を図る。

[成果の内密・特徴]

1 CEVd汚染器具の消毒は、0.5%以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10秒間浸漬することで消毒可能である(表1)。
2 病院内における各種疾病の伝染防止に用いられる電解酸性イオン水は、ウイロイド汚染器具の消毒効果は認められない(表1)。

[成果の活用面・留意点]

1 果樹病害虫防除基準に登載し、活用する。
2 次亜塩素酸ナトリウムは通常扱いの薬品であり、医薬用外劇物である水酸化ナトリウムやホルマリンと比較して取り扱いが容易である。
3 次亜塩素酸ナトリウムは分解しやすいので、冷暗所に保存する。
4 使用に当たっては、作業の都度必要量を公取し、その液の使用は当日限りとする。また、原液使用を原則とし、その場合開封後の利用可能年数は2年程度である。
5 器具の消毒は、1樹毎に行う。
6 次亜塩素酸ナトリウムはサビの原因となるので、器具消毒を行った際は必ず水洗する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:ウイロイド防除対策の確立
予算区分:国庫
研究期間:平成9年度(平成7〜11年)
研究担当者:下村克己、草野成夫
発表論文等:平成9年度果樹苗木分場試験成績書