夏秋ギク「精雲」の優良系統「96−2」の選抜


[要約]夏秋ギク品種「精雲」から栄養系選抜を行った系統「96−2」は、電照抑制78月出し栽培で在来系統よりも開花が早く、切り花長が長く、切り花品質が優れる。花は抱え咲きで厚みがあり、花形も良い。


園芸研究所 野菜花部 花花木研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]育種 [対象]花類 [分類]普及


[背景・ねらい]

本県の電照ギク生産では、秋ギク「秀芳の力」を用いた10〜5月出しおよび夏秋ギク「精雲」を用いた6〜9月出し栽培によって周年出荷体系が確立している。「精雲」は日長処理による開花調節が可能で、他の夏秋ギク品種と比較して夏季の高温に強いことから、施設栽培に適する品種である。しかし近年、変異株の出現により高温期の開花の遅れや切り花品質の低下が認められ、問題となっている。そこで、「精雲」の中から、花芽分化・発達に対する耐暑性が強く、花形・草姿が優れる系統を選抜し、切り花品質の向上と安定生産を図る。

[成果の内容・特徴]

1 県内外から収集した[精雲」の23系統について平成7年度に電照抑制8月出し栽培を行い、花形や草姿、茎の伸長性を基準として12系統を選抜した(データ略)。さらに、平成8,9年に電照抑制7,8月出し栽培を行い、12系統の中から開花が早く、切り花長や重量が優れる「96−2」を選抜した(表1,2)。

2 「96−2」は、八女地域で選抜された「八女2号」と比較して、電照抑制8月出し栽培で開花が6日早く、切り花長が3p長く、切り花重量も重い。また、柳葉数が少なく、花首長が短く、切り花品質が優れる。花は抱え咲きで厚みがあり、花形もよい(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1 電照ギク産地における「精雲」の新系統として普及が見込まれる。

2 早生系統であるため、親株の長期間使用では苗の老化に注意する。

3 キクでは変異株の発生頻度が高いため、不良形質を有する株は直ちに除去するように努める。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:夏秋ギク「精霊」の優良系統選抜
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:谷川孝弘、松井洋、小林泰生、國武利浩
発表論文等:平成7〜9年度園芸研究所野菜花き郎花木研究室試験成績書