ファレノプシスのプランタを利用したロックウール栽培

[要約]プランタを利用したロックウール栽培によるファレノプシスの切り花生産で
は、1プランタ(10ι容量)に3〜4株ずつ定植し、培養液の濃度がEC1.0dS・m−1
(ms/cm)となるように管理する。また、開花促進のために冷房施設内において17:00
から日没まで暗黒処理(11時間日長)を行うと、花茎の発生株率が高くなる。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]指導

[背景・ねらい]

洋ラン類で最も需要が安定しているファレノプシスの切り花生産では、専用プランタを用いたロックウール栽培が期待されている。プランタを利用することで株の持ち運びが可能であり、またロックウール栽培によって管理の省力化や栽培期間の短縮を図ることができる。しかし、ファレノプシスについては培養液管理や開花調節法が明らかにされていないので、安定生産のための技術確立を行う。

[成果の内容・特徴]
@プランタを利用した簡易ロックウール栽培における培養液濃度は、大塚ハウスA処方を基本とする場合、ECが1.0dS・m−1(ms/cm)となるように調整して管理する。EC0.5dS・m−1では出葉速度が遅れ、花茎数が減少する(表1)。
Aロックウールプランタへの植え付けは、1プランタ当たり3〜4株とし、2〜3cmの深さにくり抜いたロックウールマットの穴にポット苗を植え込む(図1、表2)。
B開花促進のため、冷房施設内(昼温25℃、夜温15℃)において17:00から日没まで暗黒処理(11時間日長)を行うことにより、花茎の発生株率が高くなる。また、ミュールターナ系の品種では花茎の発生日が早くなる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@ファレノプシス切り花のロックウール栽培における安定生産のための資料とする。
A培養液は大塚ハウス1号、2号及び5号を30:20:1の割合で混合したものを、1〜2
週間に1回の割合で、プランタ下部の液槽に補給する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:洋ラン切花の簡易ロックウール栽培装置利用による良品生産
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発表論文等:平成5〜8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室成績概要