電照ギク「秀芳の力」の花首曲がり防止対策

[要約]キク「秀芳の力」の電照抑制12〜4月出し栽培において、花首曲がりや癒着症の発生を防止するためには、消灯から最低3週間、夜間最低気温を15℃以上で維持するとともに、同期間の肥効をできる限り抑え、花芽分化・発達を着実に促すようにする。発蕾期前後のB−9処理は、花首曲がりの程度を軽減する効果がある。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]普及

[背景・ねらい]

キク「秀芳の力」における花首曲がりの発生は、特に1〜2月の低温期に多発する傾向があることから、低温・寡日照等との関係が指摘されているが、その原因については明らかにされていない。また、発生程度には「秀芳の力」の系統間差があることから(園学雑64別1)、電照ギク産地では栽培系統の見直しを行って対応しているが、完全な解決には至っていない。そこで、温度管理や施肥方法等の栽培管理を中心とした花首曲がりの防止対策について検討し、切り花品質の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
@消灯後、花芽分化・発達期における夜間最低気温が12.5℃以下では、花蕾の発達が遅れ、高所ロゼット株が発生し、また花首曲がりや癒着症の発生が多くなる。消灯後最低3週間を夜間最低気温15℃以上で管理することにより、花蕾の発達が早くなり、花首曲がりの発生を軽減できる(表1、表2)。
A追肥の施用量が相対的に多くなると、花首曲がりや癒着症が確実に増加することから、追肥の施用量には十分に配慮するとともに、消灯から3週間後までの肥効をできるだけ抑えるように管理する(表3、表4)。
B発蕾期前後にB−9の500倍液をキクの茎頂部に処理することにより、花首曲がりの程度を軽減することができる(データ省略)。
[成果の活用面・留意点]
@花き栽培技術指針に登載し、キクの花首曲がり防止対策資料として活用する。
A消灯後2〜3週間は灌水をやや控えぎみとし、肥効を抑えながら花芽分化・発達を着実に促すようにする。
B発蕾後に花首曲がりを認めたら、深夜から早朝にかけての気温を17〜18℃の高めに管理することにより、花首曲がりの助長を軽減できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:電照ギクの花首曲がり防止対策技術
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(5〜8年)
研究担当者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発表論文等:園芸学会雑誌64巻別1・65巻別2、平成5〜8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究 室成績概要