秋ギク「秀芳の力」の電照抑制栽培におけるセル成型苗の利用


[要約]
 秋ギク「秀芳の力」の電照抑制栽培においては、セル成型苗を利用す ることにより定植後の草丈の伸長がよくなり、切り花長や重量等が増加して切り花品質が向上する。セル成型苗の低温処理は1.0℃で4〜6週間とする。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]  092-922-4111
[部会名]  園  芸 
[専門] 栽 培
[対象] 花き類
[分類] 研究


[背景・ねらい]
 切り花生産におけるセル成型苗の利用は、育苗の省力化や定植後の活着促進を目的に、多くの品目を対象に増加しつつある。電照ギク生産においても、育苗の分業化を目的としてセル成型苗が普及する方向にあるが、慣行の床育苗と比較した定植後の生育や切り花形質の違い、あるいは必須技術である苗の低温処理法については未検討である。そこで、秋ギク「秀芳の力」の電照抑制栽培について、セル成型苗を利用した場合の定植後の生育及び開花、並びに生育促進のための苗低温処理法について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@秋ギク「秀芳の力」の電照抑制栽培においては、セル成型苗を利用することにより、慣行の砂上げ苗と比較して定植後の草丈の伸長がよくなる(表1)。

Aセル成型苗を利用して電照抑制12月出し及び2月出し栽培を行うと、慣行苗と比較して開花日に差はないが、切り花長や切り花重量、葉数が増加して切り花品質が向上する(表2)。

Bセル成型苗の低温処理温度及び期間は、1.0℃で4〜6週間行うことにより、処理終了時の苗の腐敗がなく、定植後の草丈の伸長や葉数増加に効果が高い(表3)

[成果の活用面・留意点]
@キクのセル成型育苗における技術資料として活用する。

Aセル成型苗の低温処理は、処理中の乾燥防止のためトレイ全体をポリエチレンフィルムに包んで貯蔵する。


[具体的データ]







[その他]
研 究 課 題 名:キクのセル成型育苗と作型適応性
予 算 区 分:経常
研 究 期 間:平成7年度(平成5〜7年)
研 究 担 当 者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発 表 論 文 等:平成5〜7年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書