ミヤコワスレのセル成型苗の氷温貯蔵による12〜4月出し栽培

[要約]
 ミヤコワスレの大苗(葉数9〜12枚)を6月にセル成型トレイに移植して養成し、氷温(−2℃)の冷蔵庫に貯蔵した後、10〜1月に順次ハウスに定植して栽培すると、12〜4月に良質の切り花が収穫できる。氷温貯蔵前に5℃で14日間予冷処理すると、開花期が早くなる。

 園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室  [連絡先] 092-922-4111
[部会名] 園 芸  [専門] 栽 培  [対象]花き類  [分類] 普及
 
[背景・ねらい]
 ミヤコワスレの苗は、春に採花した株を圃場に据え置くか、または山上げを行って養成している。しかし、本種は夏季の高温・乾燥に弱く、株枯れ等が多発することから、良苗の確保が困難となっており、このことが作期の前進化を制限し、切り花品質の低下を招く要因となっている。
 そこで、夏季の高温による生育不良発生前に掘り上げた株を利用した良苗確保技術を確立するとともに、その苗を用いた作期の前進化および切り花品質向上技術を確立する。(要望機関名:福岡普(H9))
 
[成果の内容・特徴]        
 1 ミヤコワスレの採花後の株を6月中旬に掘り上げ、株分けした苗をセル成型トレイで20日間養成後、氷温(−2℃)の冷蔵庫に貯蔵すると、3カ月以上にわたって苗を保存できる。この苗を用いて10月上旬から1月中旬に順次ハウス内に定植し、12℃で  加温栽培すると12月上旬〜3月中旬に、また、1月上旬に無加温ハウスに定植して栽培すると4月上旬に収穫でき、切り花品質もよい(図1)。
 2 氷温貯蔵前の予冷処理として、セル成型苗を5℃に14日間置いた後、−2℃で貯蔵すると開花期が早くなる(表1)。
 3 氷温貯蔵に用いる苗の大きさは葉数9〜12枚の大苗がよく、それ以下の小苗に比べて開花期が早く、切り花長が長くなる(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 ミヤコワスレ栽培地域における良苗確保および作期拡大技術として活用できる。
 2 セル成型苗は、冷蔵庫に入庫する3日前から灌水を控え、用土の含水比を200%程度にして貯蔵する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:草花類のセル成型苗の貯蔵技術
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:松井 洋、谷川孝弘、國武利浩、小林泰生
 発表論文等:平成8〜10年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書