パセリの冬播き夏秋どり栽培における抽台を回避する育苗温度と定植適期


[要約]パセリの夏秋どり栽培では、12月に播種し、最低気温10で育苗を行った12pポット苗を4月上旬にハウスに定植すると、抽台を回避し、収量は直播と同等となる。また、在圃期間を3ヵ月短縮でき、土づくりの期間を確保できる。


園芸研究所・野菜花部・野菜裁培研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]葉茎菜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

夏秋どりパセリは12月に直播し、6月から10月まで収穫され、その後に次作の播種が行われるため土壌消毒等土づくりの期間を確保しにくい。11月に早期直播をされた場合には、年次によっては翌年抽台により早めに収穫を終了しなければならないことがある。これらのことから、土づくりの期間を確保でき、抽台が回避できる移植技術の開発が求められている。そこで、夏秋どりパセリの移植栽培における育苗温度と定植期について検討し、生産力の高い育苗方法と移植栽培における在圃期間を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 パセリを12月に播種し4月中旬に定植する場合、苗齢が約3枚以上となり、5以下の低温に1〜1.5ヵ月(360〜540時間)遭遇しても抽台はみられない(表1)。

2 4月中旬に定植する場合、9月から11月に播種しても、最低気温12.5℃以上で育苗行い低温遭遇さけると抽台を回避できる(表1)。

3 11月上旬に播種し、最低気温10で育苗した場合、4月中旬にハウスに定植すれば抽台は回避できるが、最低気温5で育苗した場合、本圃で100%抽台する(表2) 4 12月下旬に播種し、最低気温10で育苗した場合、12pポットで育苗した大苗を4月上旬にハウスに定植すると、在圃期間が3ヵ月短縮され、直播栽培と同じ6月上旬から収穫が可能となる。また、抽台はみられず6月上旬から8月下旬までの収量は直播栽培と同等となる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1 福岡県野菜の栽培指針に登載し、指導資料として活用する。

2 育苗は1ポット3本立ちとし、葉の力一ルなどをみて品質の良いものを残し最終的には1本に間引きする。

3 移植栽培では、白黒ダブルマルチを利用し、かん水チューブを設置する。

4 収穫時の株のぐらつきを防ぐため、定植の際に手で鎮圧を行う。


[その他]研究課題名:軟弱野菜の周年生産技術の確立予算区分:経常研究期間:平成9年度(平成5〜8年)研究担当者:溝田幸恵、山本寺彦、月晴和睦発表論文等:平成5〜8年度園芸研究所野菜花部野菜試験成績概要書