反応染料を使用したいぐさ染色廃液の活性汚泥法による浄化及び脱色処理

[要約] 反応染料を使用したいぐさ染色廃液を活性汚泥法で処理すると約70%のCODが浄化できる。処理後の廃液を硫酸で酸性にして1%の過酸化水素水と1,000ppmの硫酸第一鉄を添加すると1日後には97%脱色でき、廃液は淡黄色透明になる。


筑後分場・い草研究室 [連絡先]0944−32−1029
[部会名]農産 [専門]加工利用 [対象]工芸作物類 [分類]普及


[背景・ねらい]

反応染料で染色したいぐさは塩基性染料に比べて日光堅ろう度及び摩擦堅ろう度が強いため、花莚以外にカラー畳など多様な製品への利用が期待できる。したがって、今後反応染料の使用量は増加するものと考えられるが、反応染料の廃液処理法については明らかでないので、排水指導基準まで浄化する方法を確立する。

[成果の内容・特徴]

1 活性汚泥法で処理した後の廃液のCODは約960ppm、COD浄化率は約70%で塩基性染料の場合より低い。処理後の廃液のBODは約80ppm,BOD浄化率は97%で塩基性染料の場合と同等である(表1)。処理後の廃液は黒褐色を呈する。
2 活性汚泥法で処理した廃液に1%の過酸化水素水と1,500ppmの硫酸第一鉄を添加すると、3日後には99%脱色でき、脱色後の廃液は淡黄色透明になる(表2)。
3 処理後の廃液を硫酸でpH・4.0にすると脱色が速くなり、1%の過酸化水素水と1,000ppmの硫酸第一銭で、1日後には97%脱色できる(図1)。脱色後は水酸化ナトリウムで中和する。
4 中和後の廃液のCODはTOCからおよそ40〜100ppm程度と推察される。

[成果の活用面・留意点]

1 いぐさ染色指導資料として活用する。
2 過酸化水素水、硫酸及び水酸化ナトリウムは劇物なので取り扱いに注意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:反応染料によるいぐさ染色廃液処理法
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:北原郁文、住吉強、中村厚司
発表論文等:平成7〜9年度いぐさ栽培・加工に関する試験成績書