いぐさ畑苗黄化症の発生原因と防止対策


[要約]
 いぐさ畑苗黄化症は、マンガン欠乏、化成肥料の多肥による塩類集積、土壌の過乾燥等が原因で発生する。発生防止対策として、圃場に潅漑施設を設け適度に潅水することが望ましいが、それができない場合、マンガンや堆肥を施用して土壌の物理性・化学性を改善することで発生を軽減、または防止できる。

筑後分場・い草研究室
[連絡先] 0944-32-1029
[部会名] 農産
[専門]   栽培
[対象]   工芸作物類
[分類]   指導


[背景・ねらい]  
  いぐさの畑苗は畑苗生産農家が栽培しているが、近年、いぐさ茎が黄化する症状が三瀦郡西牟田の畑苗圃場に発生している。黄化した畑苗は茎が細く、外観的に劣り、高品質いぐさの生産上障害となる。そこで、いぐさ畑苗の黄化症状の原因を解明し、防止技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
@いぐさ畑苗黄化症は、畑苗床に5月上旬から発生し、梅雨の時期に連続した降雨があるとやや症状は軽減するが、梅雨明けの7月上旬に再び発生が認められる(データ略)。

A黄化症状が発生した株は、新芽の茎色が著しく薄くなり黄色になる。症状が進行すると株全体の黄化が認められる。黄化した茎のクロロフィル含量は正常茎の約半分であった。しかしながら症状の程度と茎中のマンガン・鉄含量に相関関係は認められない(表1)。

B発生の原因は、土壌のマンガン欠乏、化成肥料多用による塩類集積(Ec 0.3mS以上表1 )、土壌の過乾燥(データ略)などである。特に、これらの条件がそろった圃場が発生しやすい。

C堆肥を4t/10a程度施用すると黄化症状の発生が少ない(表2)。

D発生防止対策としては、マンガンを5kg/10a、堆肥を4t/10a程度植付け前の圃場に混和し、圃場を乾燥させないようにする。また、化成肥料の使用を控え、有機質肥料主体に施肥を行う等が挙げられる。

[成果の活用・留意点]
@畑苗栽培暦に記載し、畑苗の安定生産のための技術資料として利用する。

A乾燥する圃場では、硫酸マンガンのみ施用しても効果が低いので堆肥とともに施用する


[具体的データ]




[その他]
研究課題名:いぐさの品質向上
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年(平成3〜6年)
研究担当者:内村要介、大隈充子、住吉勉
発表論文等:平成3〜6年度筑後分場・いぐさに関する試験成績書