近赤外分析計(食味計)による米の食味の推定法

[要約]近赤外分析計(食味計)で米のタンパク質含有率を測定することにより、同一 品種の場合は食味が50〜70%の寄与率で評価できる。


農産研究所・栽培部・作物栽培研究室 [連絡先]092−924−2937
[部会名]農産 [専門]栽培 [対象]稲類 [分類]指導


[背景・ねらい]

近赤外分光分析法による米の成分分析は測定が容易であり、各社から多くの機種が発売され普及が進んでいるが、現場における利用方法は確立されていない。そこで、近赤外分析計の精度を検討し、米の食味や食味関連形質の推定法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 近赤外分析計(食味計)による玄米及び精米のタンパク質含有率の測定精度は高く実用的であるが、アミロース含有率の測定精度は低く実用にならない。品種が同じ場合、タンパク質測定値と食味官能評価との相関係数は-0.7〜-0.8程度(寄与率50〜70%)で、タンパク質を測定することにより米の食味を推定できる。評価値(食味値)と食味総合評価の相関はタンパク質と同程度であり、食味を推定する際はタンパク質のみで可能である(表1、図1)。
2 米のタンパク質含有率と食味評価の関係は品種毎に異なるので、品種が異なる場合、食味の推定はできない(図2,3)。[ほほえみ」と「つくし早生」の玄米クンバク質(窒素)含有率から食味を推定する場合は、以下の表を参考とする。

[成果の活用面・留意点]

1 水稲栽培技術指針に登載して、普及指導上の参考とする。
2 タンパク質含有率は、水分0%に換算した値を測定値とする。測定値は年次や機種により、若干、差がみられるので、手分析を行ったサンプルを用いて補正する必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:「つくし早生」、「ほほえみ」の窒素吸収特性の解明と生育診断法の確立
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:田中浩平、陣内暢明、原田暗二
発表論文等:平成9年度福岡県農業総合試験場作物部会夏作試験成績概要書