アジュガやリュウノヒゲによる水田畦畔の雑草管理


[要約]
 水田畦畔にグラウンドカバ−プランツ(地被植物)を植付けることによって畦畔の保護と雑草管理が図られる。アジュガは繁殖力が旺盛で雑草抑制効果が高い。またリュウノヒゲは、繁殖力は緩慢であるが、耐乾性及び除草剤耐性が強い。     

 筑後分場・普通作物研究室
[連絡先]  0944-32-1029
[部会名] 農産
[専門]   雑草
[対象]   稲類
[分類]   普及


[背景・ねらい]
  水田畦畔の雑草管理は、現在、刈り払い機等による草刈りや除草剤散布などの方法で行われている。しかし、草刈り作業は重労働であり、また、除草剤散布による雑草の枯殺は畦畔の崩壊につながる危険性がある。そこで、雑草管理労力の軽減及び畦畔の保護を図るため、畦畔用グラウンドカバ−プランツ(地被植物)として有望な草種を選定し、その特性と雑草抑制効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
 アジュガ
  1)シソ科の多年草で、ほふく茎(ランナ−)及び分げつによって増殖する。

  2)繁殖力は旺盛で、20cm間隔(25株/u)で植付けた場合、半年程度で被度が100%程度になる。雑草抑制効果は高い(表 1、表 2)(図省略)。 

  3)乾燥にはやや弱く、畦畔の乾燥が続く年次には枯死株が多くなる(表 2)。また、畦畔用除草剤に対する耐性は弱く、特に吸収移行型除草剤には耐性がない(図省略)。 

4)増殖する場合、6〜 7月に根付いた個体を順次鉢上げし、9月頃の定植とする。

 リュウノヒゲ 
  1)ユリ科の多年草で、分げつ及び地下茎で増殖する。

  2)繁殖力はやや緩慢で、20cm間隔(25株/u)で植付けた場合、畦畔を被覆してしまうには 2年程度を要する。 

  3)乾燥には強く、活着後の潅水の必要性はほとんどない(表 1、表 2)(図省略)。また、畦畔用除草剤に対する耐性は強い(図省略)。

  4)株が十分大きくなってから株分けし、 9月頃の定植とする。 [成果の活用面・留意点]植付け前には吸収移行型除草剤を散布して、既存の雑草を枯死させておく。

[成果の活用面・留意点]
@雑草管理の省力化と畦畔の保護のための技術として普及を図る。

A植付け前には九州移行型除草剤を散布して、既存の除草剤を枯死させておく。

Bアジュガやリュウノヒゲの株は、園芸店で販売している。また、リュウノヒゲは山野に自生している。


[具体的デ−タ]








[その他]
研究課題名:無題かき移植栽培技術体系の確立
予算 区分:県特
研究 期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:福島裕助、中村晋一郎、藤吉臨
発表論文等:平成5〜7年度福岡県農業総合試験場  作物部会 夏作試験成績概要書