水稲早期栽培における乳苗の生育特性と育苗法    


[要約]
 水稲早期栽培での乳苗の生育特性は、稚苗に比較して出穂成熟期は2日程度遅れるが、4月下旬に移植すると収量検査等級は稚苗と同程度である。育苗法としては、出芽日数約3日で無加温で緑化する場合育苗日数14日(出芽後11日)播種量は200〜250g/箱を目標とする。

農産研究所栽培部作物栽培研究室
[連絡先]  092-924-2937
[部会名]  農産
[専門]    栽培
[対象]    稲類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  早期栽培の育苗にはハウス等の施設が必要でありハウス管理の省力化や施設の有効利用が求められている。乳苗は育苗日数が短く、1箱当たりの播種量を増やすことにより育苗コストの削減が可能である。本県では早期栽培での試験事例はないので早期栽培での乳苗の生育特性について検討し育苗法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@稚苗に対する乳苗の出穂遅延日数は、4月5日植で1日、4月25日植で2日、5月19日植で3 日と移植期が早いほど小さい。乳苗は稚苗に比べて4月25日5月19日植では穂数穎花数がやや多く収量検査等級は同程度である。4月5日植の低温条件下では穂数穎花数が少なく収量もやや少ないので4月下旬を目標に移植を行う。

A普通期栽培に比べて苗の形成は悪く、出芽日数約3日で無加温を利用して緑化する場合、育苗日数は14日程度(出芽後11日)必要である。平床出芽の場合はさらに3日程度必要である。育苗床土は人工培土のどちらも可能であるが、無肥料ので育苗期間が長くなると苗質は劣る。

B1箱当たりの播種量は200〜250gを目標とする。250g播種の場合田植機のかき取り面積を減らして移植することにより稚苗に比べて必要箱数を40%程度削減することが可能となる。

[成果の活用面・留意点]
@水稲栽培技術指針に登載して普及指導上の参考とする。

A使用する田植機により最小かき取り面積が異なるため、田植機のかき取り面積調節幅を考慮して播種量を決定する。


[具体的データ]



 

  


[その他]
研究課題名:早期栽培における乳苗の生育特性解明と栽培技術の確立
予算 区分:経常
研究 期間:平成7年度(平成6〜7年)
研究担当者:田中浩平、原田皓二
発表論文等:平成6,7年度 農産研究所 夏作試験成績概要書