京築地域における黒ボク土壌産米の食味改善法


[要約]
  京築地域の黒ボク土壌地帯では、第2回穂肥の省略、土壌改良資材ゼオライト(1t/10a)の施用及び適正な水管理により、黒ボク土壌産米の食味改善が図られる。

豊前分場・普通作物・野菜研究室  
[連絡先]   09302-3-0163
[部会名]   農産  
[専門]    栽培
[対象]    稲類
[分類]    普及


[背景・ねらい]
 最近の米市場は特に食味を重視し、おいしい米をめぐって産地間競争が激化してきている。一方、京築地域の一部に分布する黒ボク土壌産米に対する実需者の評価は必ずしも高くなく、食味の向上が急務となっている。黒ボク土壌産米の食味が低い要因の一つとして、精米中の窒素含有率が他の土壌産米に比べて高いことがすでに明らかとなっている。
 そこで、精米中の窒素含有率を制御し、黒ボク土壌産米の食味向上を図るため、施肥法、土壌改良資材の施用及び水管理などの技術改善を行う。

[成果の内容・特徴]
@第2回目の穂肥の省略により、収量は標準施肥に比べてやや低下するものの、精米中の窒素含有率が低くなり、灰色低地土壌産米と同等の食味となる(表1)。

A土壌改良資材ゼオライト(1t/10a)を施用することにより、収量はやや増加し精米中の窒素含有率が低く抑えられ、食味が向上する(表1)。

B黒ボク土では保水性が強いため適切な水管理が行われにくいが、中干しの実施及び登熟期間の間断潅水により、食味関連成分である精米中の窒素含有率が低く抑えられる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@水稲栽培技術指針に登載し、黒ボク土壌地域での米の食味改善を図るための資料として活用する。

A土壌改良資材ゼオライトを使用する場合は、ゼオライト施用効果の持続性から判断して、4年に1回程度で十分である。


[具体的データ]

  表1 窒素施肥法、土壌改良資材施用と収量・食味・精米中の窒素含有率

 注)@試験場所:淡色黒ボク土豊前市黒土、細粒灰色低地土豊前市河原田
   A標準施肥(N成分s/10a):基肥5+穂肥@ 2.5+穂肥A 1.6
   B数値は平成4〜5年の2カ年の平均値。ただし、第2回穂肥省略区の「日本晴」及
    び「ヒノヒカリ」は平成5年で、対同年の黒ボク土、標準施肥区の対比(差)で示した。   
   C食味の墓準米は灰色低地土産米で、*は5%水準で有意差あり。
 


     表2 黒ボク土における水管理と精米中の窒素含有率    
   
    注)@供試晶種:日本晴
      A水管理:標準中干しを十分実施し、登熟期間は間断灌水。
       慣行現地慣行の水管理で、中干しが不十分で、登熟期間
       は常時湛水。
      B穂肥省略区:4年は穂肥@及び穂肥Aを省略。5年は穂
       肥Aを省略。
   



[その他]
研究課題名:黒ボク土壌産米の食味改善
予算 区分:経常  
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:大隈充子、松江勇次、森藤信治、小田原孝治
発表論文等:平成4〜6年度福岡県農業総合試験場作物部会夏作試験成績概要書