「夢つくし」の生育特性と良質安定栽培法


[要約]
 「夢つくし」は早期早植え普通期の幅広い作期で栽培可能であるが、移植適期は5月20日〜6月10日である。目標頴花数は28,000〜30,000/uで施肥量はキヌヒカリよりやや少なくし、収穫適期はキヌヒカリと同様の判定基準で判断できる。

農産研究所・栽培部・作物栽培研究室
[連絡先]  092-924-2937
[部会名]   農産
[専門]    栽培
[対象]     稲類
[分類]    普及


[背景・ねらい]
  極早生の良食味水稲「夢つくし」の作付拡大と安定生産を図るために、生育特性の解明と良質安定栽培法の確立が求められている。そこで、移植適期、生育目標値と施肥法及び収穫適期の判定法について検討する。

[成果の内容・特徴]
@夢つくしの収量は、どの移植期においてもコシヒカリキヌヒカリミネアサヒに比較して安定して高く移植適期は広い。その中でも、5月20日〜6月10日植が多収であり、この時期を目標に移植を行う(表1)。

Au当たり頴花数と玄米重の関係は年次により変動がみられるが頴花数が3.0万を越えると倒伏の発生や品質の低下がみられることがあるため2.8〜3.0万を目標とする(図1 一部省略)。

B穂揃期までの窒素吸収量と頴花数の間には高い相関がみられ、目標頴花数を2.8〜3.0万とした場合の窒素吸収量は8.7〜9.6kg/10aで、キヌヒカリ(目標頴花数2.7〜2.9万)よりも0.3kg程度少ない(図2)。施肥窒素の利用率を40〜50%とすると必要な施肥量はキヌヒカリよりも0.6〜 0.7kg程度少ない。

C収量及び品質を考慮した収穫適期の判定指標は出穂期後の積算気温850〜1050℃、籾水分24〜28%、早限期の黄褐色籾粒数比率70%でキヌヒカリと同様である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@夢つくしの栽培指針に登載して普及指導を図る。

A密植を行うと倒伏程度が大きくなり品質の低下がみられることがあるので避ける。


[具体的データ]

   表1 移植期の異なる場合の生育、収量、検査等級(平成5,6年平均)

 注)倒伏程座は無〜甚を0〜5、検査等級は1上〜3下を1〜9で示した




   表2 刈取時期と籾水分、黄褐色籾粒数比率、品質(平成6年)
  
   注)@移植期は6月16日。
     A籾水分は乾燥法による。
     B黄褐色籾比率はシイナを含まない値。()は含んだ値。
     C精玄米童歩合の()は最高値に対する比率。
     D外観品質は、1(上上)〜9(下下)で示す。


[その他]
研究課題名:稲・麦の新品種導入に関する栽培法
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:田中浩平、川村富輝、原田皓二
発表論文等:平成4〜6年度 福岡県農総試作物部会 夏作試験成績概要書