福岡農総試研報 B−13 
Bull.Fukuoka Agric.Res.Cent.B−13:6〜10(1994)

促成ナスに対するかんがい水の塩素イオン濃度の影響

井上恵子・山本富三・末信真二(生産環境研究所化学部)


 かんがい水及び土壌中の塩素イオン(以下,Clイオン)濃度が促成ナスの生育,収量,品質に及ぼす影響を明らかにした。
 1 土壌のCECが約10meの砂質土壌では,150ppm以下のClイオン濃度のかんがい水であれば,全栽培期間かん水しても,生育,収量,品質に影響はなく,300
  ppm以上になると,明らかに葉重,茎重,果実収量が減少した。 
 2 果実品質においても,かんがい水のClイオン濃度が150ppmでは影響はみられないが,300ppm以上になると一果重が減少しつや無し果等の障害果の発生割合が  増加した。この傾向は,かんがい水のClイオン濃度が高い区ほど顕著であった。また,600ppm以上になると果実硬度は増加する傾向が認められた。 
 3 井戸水(Clイオン24ppm)かん水区に対する収量指数は収穫時の土壌中のClイオン濃度が高くなるにつれ低下し,Clイオン濃度が300ppmを超えると井戸水かん水  区より減収する傾向が顕著になった。
 4 土壌中のClイオン濃度が300〜400ppmを超えると,つや無し果等の障害果の発生が井戸水区より多くなり,Clイオン濃度が高くなるに従って,その発生割合も増加  した。

[キーワード:促成ナス,かんがい水,塩素イオン濃度,収量,障害果]


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