おいしくて、作りやすい水稲新品種
「ちくし18号」の育成

農産研究所

1背景、目的


 近年、消費者の良食味米志向が高まり、米の産地間競争が一段と激化しています。このような中で、平成元年に県の奨励品種に採用された中生品種「ヒノヒカリ」や平成5年に本県で育成した極早生品種「夢つくし」は良食味米として消費者や流通関係者の評価が高く、さらに平成7年に育成された「つくし早生」についても、早生の良食味品種として大きな期待が寄せられています。一方、遅い熟期(中生の晩〜晩生種)の品種としては、現在「ツクシホマレ」が栽培されていますが食味が不十分で、これに替わる良食味品種の育成が強く望まれています。そこで、「ヒノヒカリ」と同程度においしく、作りやすい中生の晩の良食味品種を育成しました。

2 成果の概要、特徴

 
 「ちくし18号」は、昭和63年に福岡県農業総合試験場で、「南海102号、後のヒノヒカリ」を母、「ヨカミノリ」を父とした組合せから育成し、両親の長所をあわせもつた有望品種です。「ツクシホマレ」に比べて次のような特性があります。

1)出穂期および成熟期は2〜3日程度早い中生の晩の品種です。

2)稈長はやや長く、穂長は短く、穂数はやや少ない中間型の品種です。

3)葉色は同程度、耐倒伏性は同程度かやや劣ります。

4)いもち病真性抵抗性遺伝子型はPi−a,ta2を持つと推定され、現在作付の多い 「夢つくし」や「ヒノヒカリ」を侵すレースでは発病しません。また白菜枯病に対してはやや  弱い抵抗性を示しています。

5)収量性は同程度かやや低いが、筑後地域ではやや高くなります。

6)千粒子、玄米の外観品質は同程度です。7)食味は明らかに優れ、「ヒノヒカリ」と同程度の良食味品種です。

「ちくし18号」は筑後地域を中心に「ツクシホマレ」に替えて普及を図る予定です。

3主要なデータなど
 

表 1 「ちくし18号」の生育、収量、検査等級および食味評価



注) 平成6〜9年農産研究所、筑後分場普通期栽培の平均値
   検査等級:1等の上〜3等の下の9段階
   食味評価はヒノヒカリを基準(0.00)。*:5%水準で有意差があることを示す。


   

表 2 「ちくし18号」の耐病性


写真 1「ちくし18号」と比較品種