味噌、しょう油に適した裸麦「イチバンボシ」の栽培法

豊前分場


1 背景、目的

 裸麦は、主に食料用および味噌用として需要が根強く、近年では食物繊維の豊富な健康食品としても見直されています。そのような中で、「イチバンボシ」は、1)小麦などの他の麦類より成熟期が早く、収穫時期に梅雨の影響を受ける危険性が少ない。2)従来の裸麦品種と比較して、収量性が高く、大麦縞萎縮病や黄化症に強い、3)品質(加工適 性)が極めて優れているなどの特長があり、平成6年度に福岡県の準奨励品種に採用され、今後、作付面積の増加が期待されています。
 そこで、「イチバンボシ」の速やかな普及を図るために、「イチバンボシ」の安定栽培法を確立しました。


2 成果の概要、特徴

1) 播種時期は11月15日〜30日が適します。これより早くなると、粒が小さく、加工適性が劣ります。遅くなると、穂数が少なく減収します。

2) 播種量は10ア−ル当たり6kg程度が適します。 

3) 他の麦類と比較して粒が小さいので、播種深度が3cm以上になると、出芽が遅れ、出芽率も低下します。 

4) 施肥量はビ−ル大麦と同量で、窒素成分で10ア−ル当たり 9.0kg程度が適します。この場合、基肥は4.5kg、追肥は1月中下旬に2.5kgと2月下旬に 2.0kgの2回に分けて行います。

5) 他の麦類と比較して赤かび病に弱いので、防除を開花期とその1週間後の2回行います。赤かび病の防除によって、検査等級が明らかに向上します。 

6) 収穫は穀粒水分25%を目安にします。裸麦は一般に収穫適期幅が狭く、刈遅れは品質低下の原因となります。 

7) 排水やその他の管理は他の麦類と同じです。


3 主要なデ−タなど

表1 播種期と収量品質

注)@平成5〜7年度の平均値。A検査等級:1(1等上)〜4(2等上)。
  B倒伏程度:  0(無)〜5(甚)。C60%精 麦時間は値が小さいほど、
  精麦白度は大きいほど加工適性 が優れることを示しています。


表2 施肥量と収量品質

 注)平成6〜7年度の平均値。


  表3 赤かび病防除と品質

 注)@平成5〜6年度の平均値。
    A薬剤はトップジンMを2回散布。
    B赤かび病:0(無)−5(甚)。


   写真1 イチバンボシの穂