待望の早生・良食味水稲新品種「ちくし15号」を育成

農産研究所

1.背景、目的
 最近、消費者の良食味米志向が高まり、産地間競争が激化しています。このような中で、平成5年に本県で育成した極早生品種「夢つくし」は、良食味の福岡県のブランド米として好評を得ています。
 経営面では、労働の分散を図り、稲作の規模拡大を可能とするために、早生の作付割合を高めて作期を拡大することが必要です。しかし、現在作付けされている早生の「日本晴」、「黄金晴」は食味が不十分であることから、これらの品種に替わる良食味品種の育成が強く要望されています。
 そこで、「コシヒカリ」と同程度においしく、本県に適した栽培しやすい早生品種を育成しました。

2成果の概要、特徴
 「ちくし15号」は、昭和63年に「農林22号」を母、「キヌヒカリ」を父とした組合せから育成し、両親の長所をあわせもった有望品種として、平成7年に種苗法による品種登録を出願しました。

 「ちくし15号」の特性は「日本晴」と比較して以下のとおりです。

 1)出穂期および成熟期はやや遅い早生種。
 2)稈長は短く、穂長は同程度、穂数はやや少ない中間型。
 3)葉色が濃く、倒伏には強い。
 4)穂発芽はしやすく、いもち病および白葉枯病抵抗性はやや弱い。
 5)収量性は優れ、千粒重はやや重く、玄米の外観品質は同程度。
 6)食味は明らかに優れ、「コシヒカリ」と同程度の良食味品種。

 「ちくし15号」は福岡県内山麓地〜平坦地に普及を図る予定です。

3.主要データなど


                       写真1 「ちくし15号」と比較写真

                        

  

    表2 「ちくし15号」の耐病性、収量性、検査等級および食味評価 

 注)@平成4〜6年農産研究所の平均値。
   A検査等級:1(1等の上)〜9(3等の下)。
   B食味評価はコシヒカリ基準。