水田輪換畑での簡易作溝栽培による飼料作物の省力安定生産

畜産研究所

1 背景、目的

水田輪換畑での青刈トウモロコシ栽培は、慣行の全面耕栽培では排水が不十分であるため、播種後の降雨による湿害により、発芽や生育が不良になり、収量が低下したり、地耐力が低下して大型機械による肥培管理や収穫作業などが制約されます。そこで、播種作業が省力化され、しかも圃場の排水効果が大きく、地耐力を高く保持できる簡易作溝栽培技術を開発し、現地で青刈トウモロコシを省力安定的に生産できることを実証しました。


2 成果の概要、特徴

1)簡易作溝栽培は、排水用の溝を作りながら播種・施肥・覆土・鎮圧の複数作業を1工程で同時に行うことができる省力安定的な不耕起栽培法です。

2)簡易作溝栽培では排水用の作溝とその砂土による覆土を行うためのナタ爪4本を取り付けたフランジ(ロータリ軸装着式の不耕起播き用覆土装置)4組と、麦用培土板を装着したロータリと、播種機及び施肥機を直装したトラクタを作業機として使用します。

3)簡易作溝栽培は慣行の全面耕栽培と比べて、次のような経済的な効果があります。
@10a当たりの作業時間は半分以下に短縮され、省力効果が大きく、1時間当たり約16aの作業が可能です。

A排水効果が大きいため、トウモロコシの発芽及び生育が良好となり、収量が安定します。乾物収量は平年で約15%、多雨年で約50%増収しました。

B圃場の地耐力は全面耕栽培に比べ3倍程度大きいので、大型機械による管理・収穫作業が容易となります。


3 主要なデータなど


  写真1 簡易作溝栽培用の作業機械      写真2 簡易作溝栽培ほ場の排水状況
  注)@フランジ4組と培土板を装着した
    ロータリー、A播種機、B施肥機


  第1表 簡易作溝栽培による青刈トウモロコシの生産性

 注)@作業時間:耕起・播種・施肥・覆土・鎮圧・作溝作業の合計所要時間
   A収量:平年(平成4年)、多雨年(平成5年)
   B※:畦立てでの成績
   C※※:土質(砂壌土)、土壌慣入深10cm、耕起52日目の測定値