小型ポット苗を使ったいちご栽培における定植前マルチング

園芸研究所


1 背景、目的

 いちごを栽培する場合のマルチングは、定植約1ヵ月後に行っていますが、この時期はいちごが盛んに生育しているため、葉柄や果房を折らないように慎重に作業を進めなければなりません。このため、作業時間は長くなり、いちごの生育にも悪影響を与えます。そこで、いちごを傷つけず、作業時間を大幅に軽減するために、植え穴が小さい小型ポット苗を利用して、定植前にマルチングを行う栽培方法を確立しました。


2成果の概要、特徴

1)定植前にマルチングを行うことにより、マルチングに要する時間は大幅に短縮されます。

2)普通促成栽培では、黒色ポリフィルムを使って定植前にマルチングをした場合は、定植1ヵ月後にマルチングを行う慣行栽培に比べて、4月までの総収量は多くなります。

3)低温処理による促成栽培では、黒色ポリフィルムを使って定植前にマルチングを行った場合は、定植1ヵ月後にマルチングを行う慣行栽培に比べて、年内収量、後期収量(3,4月)は多くなりますが、液果房の開花時期が遅くなり、中期収量(1,2月)が少なくなるので、作型を組み合わせて継続的な出荷を図ることも必要です。

4)定植前にマルチングを行った場合には、定植後活着までは、植え穴からの潅水を十分に行います。また、寒冷紗で被覆すると温度上昇が防止され、活着が促進されます。


3 主要なデータなど



  第1図 普通促成栽培の月別収量

 


 第2図 低温処理による促成栽培の月別収量 




 写真1 小型ポット苗と定植前マルチングの栽培状況
    注)左側が定植前マルチング、右側が慣行