極大粒の緑黄色ブドウ新品種「翠峰」の育成

園芸研究所

1 背景、目的

 本県では、農林水産省の指定試験地として「温暖多雨地帯における施設用ブドウ育種」を昭和49年から実施しています。現在ブドウの主要品種である「巨峰」は、高品質・大粒で消費者の嗜好とも相まって栽培が増加し、平成5年度作付け面積の約61%を占めていますが、生産が安定しない品種でもあります。そのため、より高品質で、早熟・大粒品種の作出を目的に育種を進めてきた結果、成熟期は「巨峰」と同時期ですが、「巨峰」よりやや大粒で高品質の黄緑色ブドウ「翠峰」を育成しました。


2 成果の概要、特徴

 「翠峰」は紫黒色の「ピオーネ」に大粒、黄白色の「センテニアル」を交配し、育成した四倍体品種です。平成6年8月に農林登録を行い、現在、種苗法による品種登録は出願中です。

1)「翠峰」は、樹勢が強く、花振るい性は強い方です。新梢の伸びは旺盛で、樹冠の広がりは「巨峰」と同程度ですが、新梢の豊熟は容易です。

2)果粒のかたちは楕円形、果粒重は13g前後と極大粒で「巨峰」よりやや大きくなります。

3)果粒の色は黄緑色で、やや果皮が剥がれにくい傾向にありますが、果汁の糖度は「巨峰」並みで、酸度は中位で食味は優れています。

4)熟期は「巨峰」とほぼ同時期の8月下旬から9月上旬ですが、欧州種の血が濃いので簡易大型ハウス等で栽培する必要があります。

5)「ピオーネ」の無核栽培と同様に、ジベレリン処理により熱核・大粒果房としての栽培方法も可能ですが、ジベレリンの使用には植物調節剤としての登録が必要です。

6)「ネオ・マスカット」や「巨峰」「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の一部に替る、緑色系の極大粒品種として普及することが期待されます。


3 主要なデータなど


  第1図 翠峰の系統図


  第1表 翠峰の果実特性

 注)福岡農総試平成5年成績


   写真1 翠峰の果房          写真2 翠峰と巨峰の果粒の大きさ