ロールベーラによる貯蔵飼料の省力及ぴ低コスト生産

[要約]ロールベーラによる貯蔵飼料調製作業は、省力効果が高く、作業人員を削減することができ、TDN1s当たりの生産コストは、ロールベール乾草で45.2円であり、輸入粗飼料価格の約53%の経費で生産できる。


畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室 [連絡先]092−925−5231
[部会名]畜産 [専門]作業 [対象]牧草類 [分類]普及


[背景・ねらい〕

酪農経営では、飼養規模の拡大に伴い自給飼料調製ための労力不足や労働過重などの問題が顕在化しており、粗飼料の収穫調製作業の省力化が強く求められている。そこで、省力的収穫調製作業体系として普及しつつあるロールベーラを用いたロールベール生産体系と既存の体系との作業効率を比較し、ロールベール生産体系の省力性及びコスト低減効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 収穫調製作業労働時間は、ロールベール・ラップサイレージ体系が最も短<1ha当たり707分、次いで、ロールベール・乾草体系の759分である(表1)。
2ハーベスタ・バンカーサイロ体系では、細断、運搬、詰込み作業を行うためには、2人以上の組作業が必要であるが、ロールベール・乾草双びラップサイレージ体系では、全ての作業を1人で行うこともできるため、作業人員を削減できる。
3 コンパクトベール及びハーベスタ体系において効率的に作業を行うためには、70ps以上のトラクタが必要であるが、ロールベール体系(高さ1mx幅1m以下)では60ps程度のトラクタで全ての作業を行うことができる(表1)。
4 TDN1s当たりの生産費試算では、機械・既設費及び資材費の少ないロールベール・乾草体系が45.2円/sで最も低く、次いで、ロールベール・ラヅプサイレージ体系の54.4円である。いずれの体系においても、輸入粗飼料価格(平成9年平均TDN85円)に比べ低コストである(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 粗飼料の収穫調整作業計画策定等の参考として活用できる。
2 データは19圃場(平均面積53a)の平均値であり、労働時間、軽油消費量等は、圃場条件によって異なる。

[具体的データ]

[その他」
研究課題名:低コスト飼料生産技術及びフリーストール牛群管理システム
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成9年度(平成6〜10年)
研究担当者:馬場武志、太田剛、井上信明
発表論文等:平成8・9年度畜産関係試験成績書