近赤外分析計を利用した主要イネ科混播牧草の飼料成分迅速評価

[要約]主要なイネ科混播牧草であるイタリアンライグラスとエン麦、大麦、オーチャードグラスの混播牧草の飼料成分を近赤外分析で測定するための共通の検量線を作成した。この検量線を近赤外分析に利用することによって飼料成分を迅速に精度良く評価することができる。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 [連絡先]092-925-5231
[部会名]畜産 [専門]動物栄養 [対象]牧草類 [分類]普及

[背景・ねらい]

県内で主に栽培されているイネ科混播牧草には、イタリアンライグラスとエン麦、大麦、オーチャードグラスの混播牧草があり、飼料給与設計に必要な飼料成分の迅速な評価が望まれている。これまで、主要な粗飼料を対象とした近赤外分析計を利用した飼料成分迅速評価法を確立し、フォーレージテストに活用してきたが、これらイネ科混播牧草の迅速評価に必要な検量線はない。検量線の作成には多くのサンプルと飼料成分の化学分析を必要とし、多大な労力と時間を必要とする。このため、これらイネ科混播牧草の共通の検量線を作成し、飼料成分の迅速評価を可能とする。

[成果の内容と特徴]
@作成した検量線は、イタリアンライグラスと大麦混播、イタリアンライグラスとエン麦混播、イタリアンライグラスとオーチャードグラス混播の三種類に共通であり、生草、サイレージ、乾草を対象として、各飼料成分を迅速に評価することができる(表1)。
A検量線による推定値は化学分析値との相関係数(r)が0.857以上と良い。
B検定(未知飼料に対する適合性)の結果、相関係数は0.772以上、各飼料成分の幅に対する推定値のばらつきの度合いから判断する評価指数(EI)は26.6以下であり実用化できる精度である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

作成した検量線は県農業総合試験場で実施しているフォーレージテストに新たに加えて活用する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:イネ科牧草の飼料成分分析技術
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:梅田剛利、棟加登きみ子、今村弘子、大石登志雄
発表論文等:平成8年畜産関係試験成績書